WORKS
「ナイスボール」福武書店 1991年/集英社文庫1998年
父親の23回忌を一ヶ月後に控えたある日、巨人軍の長嶋茂雄と並んだ父の写真が送られてきた。かつて、父は紘が投げたボールを追いかけたまま再び姿をみせなかったのだ。23回忌を無事済ませた紘の前に突然「俺」が現れた。そう20数年ぶりに会う父であった。いないからこそ確かな存在であった父の出現が、紘の意識と生活を揺さぶり始める…。山崎努との対談・相米慎二のインタビュー等を収める。
「ドライブしない?」(「純愛」所収)福武書店 1991年/集英社文庫 1998年
子を捨てて自由な恋愛に生きる母親。女が女を愛してしまった果てのない自問。孤独な精神の無菌室を壊して再生をはかるまでの手記が三番目の父親へ託された。第104回芥川賞候補作、「海燕」新人文学賞受賞作を含む第一創作集。
「青空」福武書店 1992年
眼の前には雄大な青空があった。自分だけがぽつんとそこにいる―。だが、生きていくことは、とてもしんどい、けれど刺激的なエンターテインメントだ、と思いたい。家族の崩壊を前提にドラスティックに生きる高校生を描く中篇小説集。
「Zoo」 海越出版社 1993年
最後の夏休み、ぼくはライオンを助け出すために、GFの五月を伴い、真夜中の動物園に忍び込んだ…。ぼくを呼ぶ声がきこえるだろ? 軽やかで、せつない新世代の心情を描いた青春文学。
「アラブの電話」 福武書店 1994年
非合法のプロ集団が、「噂」を使って暗躍するピカレスク・ロマン。選挙を策謀し、巨大企業を告発する「噂」。トレーラーで移動しつつ、「噂」を流していく無国籍の集団が、日本に存在する。中篇小説集。
「魔王」 集英社 1994年
「宗教」という怪物を、食べてみせよう。犬になった女と20人の父親から生まれ、みずから「世界大治療教」の教祖となって、宇宙支配の悪魔的野望に挑んだ男の、聖と汚辱の生涯。
「トキオ・ウイルス」講談社 1995年 / ハルキ文庫 2000年
タクシーの運転手がこんな話をしていた―日常何気なく耳にするデパートの館内放送。そのアナウンスには、従業員にしかわからないものがあるという。―それの意味する恐ろしい事実を誰も知らない…(「ジンバブエ観光協会」)。人々から発せられた噂は、耳から入り、やがてウィルスのようにあなたを浸触していく。そこには、あなたの聞いた噂もあるかもしれない―。都市に棲息するホラーストーリー六十余編。
「ニュースキャスターはこのように語った」集英社 1997年
列島各地から、ニュースキャスターの元に届けられた、私達自身の素顔!私達が自らを封じ込め、窒息しそうになりながらも、決して手放さない「日本人の皮」。カイシャインの、シュフの、ガクセイの、イイコたちの、皮。その皮に優雅な爪を立て、ひん剥いた、痛みと快楽の作品集。
「東京難民殺人ネット」角川春樹事務所 2000年(ハルキ・ノベルス)
ネット上に表れた「クリーニング店の敷地内に子供の死体が埋まっている」という投稿によりミイラ化した子供の遺骸が発見された。そして、この事件はネットの読者たちにより、語られることとなる。―コンピューターネット上で推理される事件。事実、噂、偏見、憶測、虚言が渦巻く虚構世界であなたは、真実という名の結末を迎えることができるか?
「「君が代少年」を探して 台湾人と日本語教育」平凡社新書 2002年
国定教科書に、昭和十(一九三五)年の台湾大地震の際に、『君が代』を歌いながら死んでいった少年の話が掲載されていた。このことは何を意味しているのか?そして「君が代少年」は実在したのか?資料を読み、彼らを教えた日本人教師に取材し、現地・台湾を訪れる。ついに「少年」の遺族や幼馴染みに会って真実を突き止め、台湾人の日本と日本語への思いを明らかにする。ノンフィクション。
「見果てぬ祖国」ホセ・リサール原作/翻案 潮出版社 2003年
君臨する聖職者の吝嗇と狡猾、野心に身を焦がす事件記者の虚報、酷薄な政治権力の牙…。三つ巴で仕組んだ罠に挑む革命戦士の物語。ホセ・リサール「ノリ・メ・タンヘレ」「エル・フィリブステリスモ」が甦る。
「ハンスの林檎」潮出版社 2006年
中国・青島で日本軍に敗れ、徳島・板東に移送された捕虜約千名は、異国の地で不安と闘いながら、パン作りや畜産、フットボールや西洋音楽を教える。その青春の息吹が、日本人の心をも変えていく―「歓喜の歌」が初めて響いた四国の山河。ドイツ人と日本人の友情と禁じられた恋。
「三国志に学ぶリーダー学」潮出版社 2008年
大古典の歴史書『演義』を中心にして『正史』を参照しながらすぐれたリーダーの在り方を考察しています。
「三国志に学ぶ勝利学」潮出版社 2010年
執念こそ最高の武器。一度負けても、あきらめない!現代に通じる勝利の方程式。三国志をディープに読みたい方にお勧め。
「世界の文学名場面を読む」第三文明社・21c文庫 2012年
本文の読みどころは、いわゆるあらすじではない。「デパ地下の試食」と思って、おいしいと感じたら、料理を買って堪能していただきたい。一遍ごとの構成は、架空著者インタビューがあり、そのあと、本文の「読みどころ」と続く。その作者が生存していたらという想定で、読者がシェークスピアや森鴎外の肉声を感じながら作品の背景や核心について知ることができるように配慮。
「小説を書いてみよう。」第三文明社 2013年
小説を書こうとしているビギナーに向けての小説作法。めざすのは、近代小説が書けるようになることです。そう簡単にいくのか。試してみましょう。小説を書くための第一歩は、書いてみることなのです。文豪と言われる作家たちも、書き出しの1行目から小説家への道を踏み出したのです。「さあ、授業のはじまりです。」『アンナ・カレーニナ』『ボヴァリー夫人』から学ぶ小説の作法。
「作文を書いてみよう─こうすれば、きみも文章が書ける」第三文明社 2014年
6段階で「作文」が完成する。作文を書くことは楽しいことです。具体的な実例をもとに、作文の構想から完成度までをわかりやすく解説。「作文博士」が文章執筆のノウハウを伝授します。